推理小説をしっかり推理しながら読んだらどの程度精査できるのか。
前々から気になっていたのでちょっとやってみました。
今回のブログはゴリゴリに内容の詳細が書いてあるので
今後読む可能性がある方やネタバレしたくない方はブラウザバックでお願いします。
チャレンジした小説は【時計館の殺人/綾辻行人】
前編となる今回は上巻の9割程度を読み終えた段階での考察となっております。
■あらすじ■
オカルト雑誌編集部の企画で幽霊の噂のある時計館という屋敷での交霊会を取材することになった。
交霊会の参加者は以下。
編集部3名、オカ研の大学生5名【U、KT、KW、W、N(代理参加)】、霊媒師。
館の住人(新館にて生活)は以下。
使用人兼管理人I、館の主人、先代主人お抱えの占い師、通いの使用人。
遅れてきた人物は以下。
館と縁がある推理小説家 鹿谷、交霊会の本来の参加者でオカ研所属のH。
場所は時計館の旧館。
外界から隔絶され数日間に渡って交霊会を行い、8/2に解放される予定。
■できごと■
・初日の交霊会実施後、霊媒師が血痕を残して行方不明になる
・霊媒師は旧館の鍵を所持したまま行方をくらませた
・霊媒師による自作自演の売名と判断。8/2を待つことに
・二日目の夜KTが殺害され、逃走の場に居合わせたWも殺害される
・霊媒師と愛人関係にあった編集部のKBが、交霊会は狂言だったと白状する
(別の時間軸)
○7/30鹿谷と、急遽交霊会を欠席したHが時計館を訪れるがIにあしらわれ帰宅。
○7/31昨夜とは一転、Iは鹿谷を呼び寄せ、先代の遺言の意味を解いてほしいと依頼する。
☆十数年前:時計館完成、10年前:少女死亡+連続不審死、9年前:新館完成+先代死去
☆少女には許嫁がいたが、少女の死後事故死している
☆少女の世話係だった家政婦が少女の死後自殺している
☆少女死亡後に主治医と先代の部下も不審死している
☆昨年9月に学生たちが一度館を訪ねている
(8月のトピック)
8/1 10年前少女が亡くなった日
8/2 交霊会が終わり、扉が開かれる日
8/5 少女と母親の誕生日/遺言曰く処刑の日
8月上旬 Iの娘が亡くなる
8月 9年前に新館増築
(先代主人の遺言)
『女神は沈黙の獄舎につながれている
一九九二年八月五日 処刑のその日
時間(とき)は果て 聖堂に七色の光射し
地を揺るがす叫びの中にお前たちは聞くだろう
沈黙の女神の ただ一度の歌声
美しき断末魔の調べを
それは嘆きの歌 それは祈りの歌
罪深き獣たちの骸とともに
我らの墓標にささげられるであろう』
■予想があっていたこと■
・学生【U、KT、KW、H】の記憶に出てくる少女=10年前亡くなった少女
(少女の死の真相に4人が関わっている)
・霊媒師=10年前亡くなった家政婦の妹
■上巻9割時点での脳内■
・恐らく旧館内は実際の時間と数時間ずれている→旧館の時計を操作できるのはIのみ。
→共犯であれば、集合時間の前に霊媒師が動かして回ることは可能。
→当初はズレていなかったことを踏まえると旧館内の人物が動かした可能性も?
・外から見える時計塔の針は昨年11月に撤去→11月近辺で何か新事実が発覚した可能性。
(現主人が毎日ゼンマイを巻いてしまうため、
計画実行時に外から来た者が正しい時間が分からないようにする措置と予想=現主人は犯行には無関係?)
・霊媒企画の真の目的は復讐?
霊媒師=復讐の共犯、または真の計画を知らされず殺害済み。
その場合、死体を運び出すのは難しい=その部屋(振子の部屋)に隠し通路があるのかな
・霊媒師の血痕が発見された現場の鍵は、犯行時は開かず、翌日は開いていた
→誰かが開けたor別の方法で閉まっていたorあえて開けて中を探索させたかった
・学生Uは殺害対象のはず。学生Nは部外者、学生KWも殺害対象?
殺害対象二人は場合によっては容疑者でもある。(10年前の事件如何で動機があるかも)
ただし企画発起人+参加者を集めたのは霊媒師(編集部K)なので、
学生犯人路線があるとしたらここはグルということに(=なさそう)
・編集部の3人は少女の件では部外者。殺人については白と考えてよさそう。
・10年前の少女死亡以降に関係者の死が相次いだことについて
→初めの二件以外は関連性なし?そうでなければ誰が出来る?I?
Iが実子を殺害した可能性を検討する必要。その場合は何かへの妄執が動機かなぁ
・占い師の予言は連続死には関係ないと考える。(少なくともオカルト的には)
・遺言に沿って犯行が行われているとすると8/5に時計塔の鐘が鳴るのでは。
罪深き獣の骸=少女の死に関わった人物が殺害される?
・鹿谷視点との交点的に日にちまではずれていないと思うので、
8/2の開放と8/5の処刑の時差がどうなるのか不明。(そも1992年は3年後という)
→下巻で旧館の鍵が開けられて、鹿谷突入。8/5に事が起こるとか?
・犯人はI。Wの死は目撃されたことによる突発的な犯行?
パッと浮かぶ動機は妄執パターンか、娘の件が関わっているか。
・Iの着けたイヤホンは盗聴用?隠し通路で出入りしている予想
(伏線は見つけていない仮説と雑記)
・上巻9割時点で、ようやく関係者が出揃った感じ
・Iがテレビで霊媒師を見つけてから計画?(10月頃とか?)
9月に学生たちが館を訪ねたことから計画?
→何故その計画を遂行したいのかは今のところ不明
・館の主人が少女は生きていると考えているのが妄想か否かは頭の片隅に
→ワンチャン少女とIの娘のどちらかは生存している説
・参加者の身体愁訴や異常な眠気は時差故、または飲食物に薬が盛られている?
・犯人が身に着けている仮面は新館廊下から交霊会当日盗られたもの
→Iが犯人だと、ここだけやっつけすぎるのは気になる・・・
(検討できていないこと)
・霊媒師がどこまで計画に加担していたか
・学生たちに犯人がいる場合の動機や方法
特にUは明かされていない記憶がありそうな気がする
・欠席したために隔離から逃れている10年前の関係者Hの行く末も気になるところ
今後何らかの方法で殺害される可能性も高いと思う
・通いの使用人がどうかかわってくるのか
・編集部にも被害者が出るのか。出た場合の殺害の動機は?
・館のからくりも不明。時計館だし歯車系の仕掛けがありそう
部屋ごと回転はさすがに誰か気が付くか・・・。
ちなみに、館のからくりについてはシリーズ通してビタ当て出来たことはないです笑
・現主人がどうかかわってくるのか
・少女の部屋にあったラベルが手書きされたレコードの意味とは
・学生Nを起こしてまで深夜に死体を発見させた理由は時間感覚の撹乱が目的?
とまあこんな感じで、読書中の脳内はしっちゃかめっちゃかです。
読み進めていくうちに大半の推理が明示され、除外され、
最終的に犯人と大まかなトリックまでは見当が付く感じ。
特に館シリーズでは、各人の視点の描写は事実として扱えるので、
比較的謎解きはしやすいと感じています。ついでに納得感も高い。
誰も目撃しておらず、誰からも語られない、
館のからくり部分の正答率が落ちるのもここが原因と言えるでしょう。
(という言い訳をしておく)
さて、下巻も8割くらいまで読み終えたら、再びここで考察しようと思います。ではまた。