週明けくらいから急に寒くなりましたね。
寒暖差で体調を崩さないよう気を付けたいところです。
さて、久しぶりに最近読んだ本を紹介しようと思います。
◆虐殺器官/伊藤計劃 著
2007年に刊行された伊藤計劃氏の長編SF小説です。
以前のブログで同氏の小説が原作の映画『ハーモニー』
も紹介しているので、良かったらそちらもご覧ください。
https://www.alpha-corp.jp/2021072820129.html
『ハーモニー』から興味を持ったので、デビュー作の『虐殺器官』を
手に取ってみました。購入したのは今年の夏頃だったのですが、
哲学的だったり、難しい用語が多かったり、グロテスクな描写が多々あったりなど、
少しずつ読み進めていたので、読み終わるまで時間がかかってしまいました。
~あらすじ~
9・11以降の、"テロとの戦い"は転機を迎えていた。
先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、
後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が
囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……。
(文庫版裏表紙より引用)
9・11以降、世界中で戦争とテロが激化した結果、アメリカをはじめ
先進国ではID(個人情報認証)によって人々の網膜や指紋などの
個人情報データがセキュリティ会社によって登録され、
管理体制が敷かれるようになっている、という世界観でのお話です。
一言で言うと、なんだかとんでもない本を読んでしまったな、という感想です。
タイトルの虐殺器官とはいったい何なのだろう、と不思議に思いながら
読んでいたのですが、意味が分かった時にすごくゾッとさせられました。
「あんただったら知ってるだろう。
世界中で省みられていない内戦がいくつあるか。
人が興味を持つのはそのほんの一部だ。
人間は、見たいものだけしか見えないようにできているんだ」
作中で主人公の軍人・クラヴィスに向けられた言葉です。
自分が見たいものだけ見る。自分が信じたいことだけ信じる。
耳が痛くなる言葉の数々ですが、確かにその通りだなと思わされました。
今度アニメ映画のほうも観てみようと思います。