ゾンビ映画ってたくさんありますよね。
衝撃的なものから頭を使わずに気楽に観られるコメディ作品まで、
幅の広さと内容のわかりやすさや展開の豊富さが
ゾンビ映画の魅力の一つだと思っています。
ということで今回巡るのは、ゾンビ映画の中でも異色作。
「アンデッド/ブラインド(2018)」
アンデッドになった少女と盲目の少年の物語です。
設定がかなり重めなので、観る場合は事前に調べてから観たほうが良いかもしれません。
◆あらすじ◆
悪魔の巣(デビルズ・デン)と呼ばれるその山は
足を踏み入れた者が誰一人として戻ってこないという。
その悪魔の巣へと車を走らせる男がいた。
指名手配中のその男は、悪魔の巣で寂れた小屋を見つけそこに身を潜めようとするも、
無人の山奥にもかかわらず、小屋の戸を叩く音がしてドアの外の瞳と目が合う。
警察かと思い銃を構えて応戦するも相手には効かず、
気付いた時には男の額深くに斧が突き刺さっていた。
男を殺した異形の来訪者はまぎれもなく少女の姿をしており、
今さっき殺した男を小屋まで引きずるとその血肉を貪り始める。
やがて男のポケットから車のカギを見つけ出し、
荷台を物色している最中に突然車の中から何者かが声を上げた。
飛びついた少女は、パニックになり抵抗する少年の顔を見て驚く。
少年の両目はケロイドでひどく潰れており、
先程の男の名前だろうか、謝りながら懇願する姿を見て、少女は殺意を潜めた。
ということで、あらすじからも分かる暗めな設定のお話です。
ラストは希望のあるものですし、考察のしがいのある厚みのある作品ですが、如何せん少女たちの過去が重いです。
少女は過去に母親の恋人に襲われ生き埋めにされアンデッドとしてよみがえっており、
少年は件の男に誘拐され拉致監禁されていたことが何となくわかっていきます。
少年と男の関係性についてはさらに複雑で、
共依存の関係の中でどちらが相手を束縛していたのか、
考えさせられる描写が多いです。
個人的に、より深刻なのは実は少年の方。
純粋や無邪気というには違和感のある複雑な精神状態が垣間見えます。
少年と少女が壊れた心を寄せ合い、どんな風に再生していくのか。
序盤はどう見ても生者とは思えない異形の少女が、
徐々に顔立ちや行動に人間らしさが戻ってきて、
この再生していく過程を「ゾンビ」というフィルターでうまく表現しています。
ゾンビ映画の醍醐味であるハラハラ感はそんなにないんですが、
観終わってから、成程これは面白い。となりました。
スプラッターが大丈夫で、あらすじを見て興味があるなら、
観ても損はない作品としてオススメしておきます。