久しぶりのおすすめの本ブログになりますが、
オススメというより、「それってあり?」となった
意外性のある小説を紹介しようかなと思います。
『隻眼の少女(2010)』
◆あらすじ◆
死に場所を求めて山奥の寒村、栖刈村にやってきた大学生の種田静馬は、その村に昔から伝わる守り神の一族、
「スガル様」の跡継ぎ殺害事件の犯人として疑われてしまう。
そこを救ってくれたのが水干姿の少女、御陵みかげ。
偉大な名探偵であった母の後を継ぐべく実績を上げにやってきた少女は瞬く間に静馬の濡れ衣を晴らしてしまった。
その後みかげの助手として捜査を手伝っていくうちに、
スガル様の跡取りである三つ子の姉妹が次々に殺されてしまう。
一つ謎を解けばまた一つ謎が現れ、すべての謎が解けた時、
静馬は再び命を絶つ決意をしたのだった。
その18年後、記憶を失った静馬は栖刈村を訪れていた。
そこで再び事件が起こり、現れたのは3代目を名乗る「みかげ」だった。
何かで大賞だったと帯に書いてあったので気になって読みましたが、
そういう文言がイマイチ嵌らないのが自分だったということを読み終わってから思い出しました。
内容は面白かったんですが、ギリギリというかなんと言うか。
「ギリギリセーフ?アウト?」と聞かれれば
個人的にはセーフですが、レビューではアウトという意見もそれなりに多かったです。
調べてみるとそういう書き方をする作家さんらしいので、
他の作品を読んだことのある人とそうでない人でも印象の違う作品なのかな。
真犯人に関しては、この人の言葉は釈然としないなと
思っていた人がまさにだったので、そういうことね、
とはなりつつも個人的にはグレーかなぁというもんやり感。
トリックの立証が緩めだという所は読者の感想として
概ね一致していたので、緻密な立証を楽しみたい方にはオススメしません。
内容としては、伏線を分かりやすくこちらに提示してくれるので(もちろんミスリードもありますが)推理しながら読み進められて楽しかったです。
データを集めている場面の進みのゆっくりさと、
推理場面での勢いの緩急が大きくて、
ちょっとした引っ掛かりを、ん?そうだったっけ、
と振り返ることを許さない推理シーンは、結末を思うと計算尽くなのかなと。
本格ミステリーにそこまでこだわりはなくて、
ちまちま伏線を拾って推理する過程が好きな人だと
ぐいぐい読み進めてしまう作品だと思います。
結末は個人の好みの部分なので、
そこも含めて裏切られてみてはいかがでしょうか?