色々な映画についてとりとめもなく話しているうちに、
映画探訪も目標にしていた「その⑳」になりました。
長かったようで意外とあっという間だったかもしれません。
記念すべき(?)20回目に巡る作品は、私の好きな映画を選びました。
『Sing Street(2016)』
映画とは基本的に一期一会の私ですが、2回映画館に通った数少ない作品です。
◆あらすじ◆
舞台は1985年のアイルランド、ダブリン。
親の失業、そして離婚の危機。
経済難から公立高校へ転校し、
慣れない環境に意地の悪い校長先生。
冴えない学校生活にいじめっ子。
どん底の生活を送っていたコナーはある日、
学校の向かいに立っていた少女に一目惚れをする。
モデルを目指す少女の気を引くために、
組んでもいないバンドのMVモデルになってくれるように頼むと、
何とか寄せ集めでバンドを結成し、曲を作る。
MV撮影は成功し、縮まっていく二人の距離。
けれどもラフィーナには年上の恋人がいて、
二人でロンドンに渡り、向こうでモデルをするのが夢だと語られる。
海の向こう、すぐそこに見えるイギリス。
葛藤に成長、自分を成すためにコナーが選んだ選択。
少年たちは夢を胸に、大海原へと舵を取った。
監督ジョン・カーニーの少年時代を投影したような作品で
タイトルにもなった「sing street」は
カーニーの母校「Synge Street」と同じ読み方。
カーニー自身も、コナーのように、
才気豊かな友人達とバンドを組んでいたそうです。
アイルランド出身のカーニーが描く当時のダブリンはリアルで、
海を渡ってイギリスに行くとか無謀じゃない?と思ってしまいますが、
当時、不況の影響を受けて海を渡る若者が多くいたそう。
背景を知ったうえで観るとより理解が深まるので、
アイルランドが舞台の他の作品を観てみても面白いかもしれません。
カーニー作品の『ONCE ダブリンの街角で』や、
米英愛加4か国の合作映画『ブルックリン』などオススメです!
話が逸れましたが、日本っぽい爽やかな青春ではなく、
自分とは何か、みたいなティーンエイジャーらしい葛藤や成長がむずがゆいような切ないような懐かしいような。
ダブリンの街並みや映画内でコナーたちが創造するMV達がそれらを彩って、
一つの映画が色鮮やかに爽やかに視聴者の心に届きます。
ということで映画探訪その⑳、いかがだったでしょうか。
好みは分かれるかもしれませんが、
青春・音楽・自然美と個人的に好きな要素が詰まった作品。
これをきっかけに知ってもらえたら嬉しいです。
あまりに長くなるので割愛しましたが、
兄弟の関係や音楽との付き合い方など、
80年代に青春を過ごした世代の方が共感する部分が多い
作品なんじゃないかなと思います。